医者から手術を宣告された男の実話

10万人に2人といわれる奇病の為、開腹手術が必要で、最悪の場合胃の全摘出もある、 と医者から宣告された男の実話

昔の思い出

化学式のことを思い出していたら、あまり勉強した記憶はないけれど、学生時代のことを思い出した。普通の大学では4年生になると“卒業論文”を1年間かけて作成するが、我々は“卒業研究”と云って、師事したい教授の研究室で1年間研究のテーマを与えられて研究しその成果を出す。ところが1つの研究室には7〜8名しかは入れないので、人気のある教授の研究室に入るのは至難の業で、私のような人間はとても入れる研究室ではなかった。私が選んだK名誉教授の研究室も難しかったけれど、K先生が高校の大先輩だったことが幸いして入室することが出来た。

私のテーマは「焼結ニッケル電極を使った水素-酸素型燃料電池の研究」で、今「燃料電池」と聞いてもその名前を知らない人は殆どいないけれど、45年前だからK先生の取り組みは素晴らしいものだった。電極は少しでも電気が多く流れるものを作らなければならないので、主原料のカルボニルニッケル粉末に増孔剤を添加混合する割合を計算して、160kg/cm2の圧力で加圧成型、それを水素炉中930度で焼結する。加圧成型は比較的短時間でできるが、それを930度で焼結するには一般的にいう“電気炉”で、炉は研究室の小型のものだから温度が上がるまでに10時間弱かかる。それを見届けてデータを纏めるために、電極を作る日は大体研究室に泊まることが多い。ただ、温度が上昇するまでの時間は水素の供給状態を監視するだけだから暇ができ、その時間は研究室にあるいろいろな装置や薬品を使って興味あることが出来るので楽しかった。

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